yurico’s note

BLイズマイライフ♡BLのこと。感じたこと。時々日常

心にぶっ刺さるタイドラマ「3 Will Be Free」を泣きながら語る

どうして他人と同じようにしたがるの?
何でそんなバカみたいなルールを作るの?
自分の人生をどうするのか、どう行動するのかを他人なんかに決めさせないで
すくなくとも自分の心に従って

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 タイBLドラマ『DARK BLUE KISS』を見て主役カップルを演じたTayNewに完堕ち。じゃあ他の作品も観てみるかと、tayさん見たさに軽い気持ちで手を出した「3will be free」(←非BL作品)だが、なんと言うか…思いがけず心にぶっ刺さるすごいドラマであった。視聴後の感想をツイッターで呟いたが、改めて記録としてブログに残そうと思う。実はこのしつこい星人の私が一度しか観ていない。けれど今尚ずっと心に残っている。時折、波のように押し寄せてくるこの熱い想い。今まで経験した事のないこの感覚をもう少し味わっていたいと思う。

 ☟初見ツイート

 

ストーリー

Neo・Miw・Shin。2人の男と1人の女
赤の他人だった3人はある事件に巻き込まれマフィアに追われる事となる…

neo・miw・shin、マフィアに追われる逃亡劇を縦糸に
3人の関係の変化と、mae・terの想いを横糸に
複雑に絡みあう糸は・・・3人を待ち受ける運命とは・・ 

 

独特の映像美

「3will be free」は光と影の演出がとても素晴らしいので、そこも注目して観てほしい。また色彩が本当に美しく強く心に残るシーンがたくさんあった。バイオレンス目白押し・緊張感が続く場面が多い中、その映像美に暫しの安寧と優しさを感じる事ができると思う

 

Neo

neoの魅力「自由な魂に」

引き締まった肉体美に人好きのする人懐っこい笑顔。その外見もさることながら、やはりこの人の魅力は誰にも支配されない「自分の主人は自分」という確固たる信念にあったように思う。じゃあ他人を巻き込んでいいのかと突っ込みたくる場面も多々あったが、それが許される魅力に溢れるキャラクターであった。人は誰しも自分を肯定してくれる人を欲している。neoの持つ大らかで包み込むようなオーラ。自由な魂を持つこんな人だからshinもmiwも惹かれ、そして救われたのだ。

Miw

miwの魅力「生への執着に」

『派手な化粧に服装・はすっぱな態度・相手が男で尻込みしない』それは自分を守る術。そうしないと生きて来れなかった。生き延びるため全部を捨てたmiw。悲しいかな「演じている」うちに地になってしまう事はあるかもしれない。執着と言うとネガティブに聞こえるもしれないが、miwの「生きようとする姿勢」は時に眩しく時に羨ましくも見えた。私たちは彼女を通してタイ社会に残る女性蔑視を、女として生きていくことの生きづらさを垣間見ることになる。そして彼女の中にある弱さと真の優しさを感じるだろう。miwのセリフには何度も心揺さぶられた。彼女の言葉はすべての女性達へのエールかもしれない。miwもまた愛おしい魅力的なキャラクターであった。

Shin

shinの魅力「愛に」

私はこのshinというキャラクターにドラマ最大の魅力を感じているので少し長くなる。

shinがこのドラマに「癒しと救い」を与えてくれたことは間違いないだろう。マフィアの1人息子として生まれたshinは父親の職業を嫌っている絵を描く事が好きな繊細な心を持つ物静かなゲイの青年だ。ひょんな事でneoと知り合い、たった一夜を過ごした彼に恋をする。後に再会した時に「たったあれだけで好きになるなんて早すぎないか?」と戸惑いを見せるneoに「好きになるのに時間の長さは重要じゃない。その瞬間、どれだけ幸せだと思えるのかにかかってるんじゃないのか?」と答えるシーンに胸を衝かれた人は多いのではないだろうか。過ごした時間が1日でも1時間であっても、誰かを好きになることはあるだろう、その時間だけが心の支えになる事も。まさにshinにとってneoは閉じ込められた籠の中から外の世界へ連れ出してくれた神様だったのだと思う。

ここは完全な私見になる。
「この作品にBANANA FISH(※)を感じる」なぜそう思うのか、私の拙い文章力ではお伝え出来ないのがもどかしい。ひとつ言えるのはshinの自己犠牲にアッシュを。芯の強さと深い愛情に英二の姿と重なるのだ。英二の命を守るためゴルツィネの元へ戻るアッシュ。戻ればゴルツィネの後継者として生きる事になる。誰もが羨む人生。でもそれは『生きていながら死ぬ事』を意味する。「もう2度と会えなくても英二にはずっと幸せでいてほしい」それがアッシュのただひとつの願いなのだ。

neoがmiwが度々shinに言う「お金に苦労した事ない人間には分からない」
shinはこう返す「自分の意志とは関係なく敷かれたレールの上を進まなきゃならない気持ちは誰にも分からない」
shinはneo・miwの命を救う為、死ぬほど嫌っていた父の跡を継ぐ事を決意する。shinもまた生きながら死ぬことを選んだのだ。 

気弱だったshinを突き動かしたのはneoへの愛に他ならない。
見返りを求めない無償の愛。この世にこれ以上尊いものがあるだろうか。アッシュと英二・neoとshin。「友情」と「恋愛としての愛情」の差こそあれ、このshinの愛に心を打たれずにはいられない。

ドラマのクライマックス。shinが父親と対峙する場面

父親がshinに「なぜそこまで奴らを守ろうとするのだ?彼らは何をした?」と問うシーンがある。shinの答えをどうか確かめてほしい。shinが求めていたものは何なのか?そこにドラマの答えがあるようにも思う

愛する人を守るということ

このドラマにおいては「(自分)愛する者を守る=誰かを殺す事、裏切る事」であった。殺されなけば殺されるという構図。話せば分かるが通じない世界。タイは銃社会なのか?その辺りは不勉強で申し訳ないが銃を撃つシーン満載であった。

このテーマについては「phon&maeカップル」に言及しなければらばならない。

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殺し屋として生きてきたphon、恋人でトランスジェンダーのmae。互いに支え合い生きてきた2人。phonは「俺は足を洗う。お前の夢だった店を開いて2人つましく生きていこう」と語る。性別適合手術を控えるmaeはphonの言葉に幸せを噛み締めるのも束の間、phonは何者かに殺されてしまう。それを知ったmaeは、彼を兄と慕うterと共に愛する者を奪った犯人に復讐する事を決意するが・・・

殺したのは誰なのか?なぜ殺されなけばならなかったのか?

殺された者にも殺した者にも愛する人がいたとしたら?

物事は誰の立場から見るのか?によって悪は変わる。一方にとって悪でも違う角度からみればそれは「善」になる。

何が正しくて何が間違っているのか?

とは何なのか?とは何なのか?

どちらも間違ってない。

生きる、とはこういう事だ。

飽きさせずテンポよく進むストーリー
見事な伏線の回収
暴力・貧困・差別・トランスジェンダー・女性の生き方。ひとことでは説明できない色んな要素を含んだ『愛と生と尊厳』がテーマのドラマ

「3 will be free」(全10話)是非ご覧ください!

もちろんyoutubeにて無料視聴可能。
TayNewJapanFC様が素晴らしい日本語字幕を付けてくださっています。


サムネール写真がちょっと・・・と、個人的には思ってます笑

 

BANANA FISH・・・吉田秋生による漫画作品(1985~1994・コミックス全19巻)
もし「天才だと思う人は?」と聞かれたら1番に吉田秋生だと答える。『BANANA FISH』は棺桶に入れて貰う私の人生におけるナンバー1の漫画であります。未読の方は是非。