オススメBL小説編①眠り王子にキスを(月村奎)
本日はわたくしの大好きなBL小説を紹介します
最近「家族とは・・」と考える事がありまして
その事について考えるとこの小説の事を思い浮かべてしまうのです。
月村奎さんは繊細な心理描写と読みやすい文章で人気の作家さんです。
作品の傾向としてはネガティブ健気受けとそんな受を優しく包み込むポジティブ攻め
月村作品の中で1番好きなのがこの作品です!
「切ないけど心あたたまるBL読みたい」という方に鬼ススメするのは…
「眠り王子にキスを」(2013.12 SHYノベルズ・大洋図書)
・宮村周平(攻) ・堀篤史(受)
デリの常連客・会社員・29歳 物静かなデリ・オーナーシェフ・32歳
・ストーリー
家族から離れ伯母から譲りうけたキッチンスタジオで料理教室をしながら
オーナーとして働くデリにさわやかサラリーマンの宮村が通って来るようになる。
自分の性癖に悩み、それが原因で家族から心無い仕打ちを受け「一生恋愛をしない」と
心に決めていた篤史だったが人懐っこく大らかな宮村に惹かれていく・・・
「目のつんだブロードのシーツに身を横たえるとそのひんやりとした感触に体温を吸い取られていく。普通でない性癖を封印して、自分は人生最後の日までこうして冷たいシーツの上で一人眠りにつくのだろう。あの客はもう眠りについただろうか。微笑んだ目元の優しさを脳裏に想い描くと、胸の奥に小さな火が灯る」本文より(12P)
理解をしめさず1ミリも寄り添わずそれどころか篤史を追いつめる実母・弟・学校の教師らの描写には心底腹が立ちます。でもそれ以上にそんな家族に対し憤らずただただ申し訳ないと心底思っている篤史が不憫で悲しい。
頑なに閉ざした篤史の心を、握りしめたこぶしの指をゆっくりと丁寧に一本づつ開かせた宮村の愛情よ。良い家庭で育った宮村だからこそ篤史は惹かれたのかもしれないね。
何度でも読み返してしまうお気に入りの2シーンを!
①私が心震えるイチオシのシーン
海外出張土産を持って宮村がデリへ訪れる。
仕事がら水仕事が多くいつも手が荒れているのが気になってたと、レクチャーしながら宮村が篤史の手に高級クリームを塗る場面
「生まれてから今までで、一番幸せで官能的なスキンシップだった
今世界が終わりを迎えても構わない位、篤史の心は甘い幸福感に包まれる」
一番幸せで官能的なスキンシップだった
ここの描写がほんとたまらないんですよ
そして…
②何度読み返しても200%泣くシーン。
恋人同士になった2人(やっと)
一緒にいるところに篤史の弟が現れ、ぶつけられた心ない言葉。このまま一緒にいたら宮村を不幸にしてしまうと別れを決意する篤史に
「実家に用事があるから一緒に行って欲しい」と言われ宮村の実家を訪れる場面。
宮村は母親に「今夜、一生添い遂げたい人を連れて行くから」と予め伝えていたのです。
それを母子の会話で知った篤史は畳に頭を擦りつけ泣いて宮村の母親に謝ります。
「すべて僕が悪いんです。申し訳ありません、今すぐ別れて一生お母さんの目に触れないようにします」
悲しくなるわ。いつも。
母親は「どうかお顔をあげてください」と言い、かつて親に猛反対され夫とは駆け落ちをした事、親から心無い言葉で傷つけられた事、ふとした折に思い出すたび辛かったと。
だからは子供に大切な人が出来た時は絶対祝福すると決めていたと話します。
さらにここから続く宮村母の言葉に…
200%号泣
ほんと心救われるシーン。
こんな家族がいたら何も怖くないよね。
肯定してくれる人が家族って最強よ。
篤史を否定し続けた堀家の母・弟は最後までそのスタンスを崩さなかった。
その辺りの回収はありませんでした。
最後まで腹立たしかったけどこれも現実なのでしょう。
でも宮村母は篤史のお母さんになってくれるはずだし
宮村一家も今まで家族愛に触れた事のない篤史にうざい位の愛を注いでくれるはず。
そしてBLお待ちかねのエロは控えめだけども宮村の抑えに抑えていた気持ちがあらわれた濃いものにはなっていました(嫌いじゃないわ)
ほんとに大好きな小説。
スピンオフやコラボ小説がありますのでそちらも是非!
「眠り王子にキスを」と同時に発売されたコミックスです。
篤史と同じマンションに住むエロ漫画家の朝比奈と、かつて告白逃げしたイケメン意地悪先輩との再会ラブコメ♡
「いつも王子様が」(2013.12 comics ihr Herzシリーズ 大洋図書)
これも超オススメ!おおらか攻めとツンデレ受(月村さんでは珍しいかも)
宮村&篤志カップルのラブラブなその後をチラっと覗けます♡
「隣人は恋人のはじまり」(2015.6 SHYノベルズ・大洋図書)
やはり……